アルヒブラーとジョニーハートマン

今日はジャズ歌手の話をします。ボーカルの歴史の中でも古いスタイルがクルーナーと言う歌唱スタイルではないでしょうか。

主に男性歌手が囁くようにソフトに歌う、20世紀初頭に生まれたボーカルスタイルです。

元祖クルーナーと言えば一番有名な歌手はビングクロスビーでしょうか。今回紹介するのは渋いクルーナー歌手です。一人目はアルヒブラー。

あまり聞きなれない名前かも知れません、しかしアメリカでは50年代にいくつかヒット曲が有ります。映画ゴーストでも使われた[アンチェイドメロディー]はアルヒブラーのヒット曲として有名であり、また彼のキャリアの中ではデューク・エリントン楽団の専属歌手として自分のスタイルを確率した事が大きいでしょう。彼のスタイルはクルーナースタイルを土台にしながらソウルフルな哀愁のある独特のためを利かせた渋いバリトンです。

この曲は1934年のアルボウリーのヒット曲です。後にナット・キング・コールや次に紹介するジョニーハートマンも歌っています。アルヒブラーはジャックプリーズ楽団をバックに渋いバリトンを聞かせます。

アルヒブラーは盲目のクルーナー歌手で、生まれたのは1915年8月16日、ナット・キング・コールやフランク・シナトラより歳上です。

シナトラも彼を尊敬し、自身のレーベルのリプリーズからアルヒブラーのレコードをリリースします。

これはシナトラのリプリーズから出たレコードのテイクです。ジェラルドウィルソンの編曲で円熟の歌を聞かせます。

次に紹介するのは日本では有名な歌手ジョニーハートマンです。

彼も渋いクルーナーです。彼はアルヒブラーの影響を受けていますが、やはり彼の持ち味は甘い声です。歴代のクルーナーの中でも渋さと甘さがブレンドされた別格のバリトン歌手です。同じ系統の歌手としては、ビリーエクスタインやアーサープライソック、そして同じ世代のアールコールマン、またポップス畑のロイハミルトン等がいますが、彼のベルベットボイスは別格の味わいを持っています。

映画の主題歌ですね。

この曲ではテキサステナーの巨匠イリノイジャケーが良い味を出しています。ジョニーハートマンの情感豊かなバリトンが聞けます。

ハートマンは1923年生まれの正にモダンジャズ時代のバラード歌手。

アール・ハインズ楽団やディジーガレスピー楽団そしてアートブレイキー楽団等、多くのモダンジャズメンと共演。日本にも何度か来日してレコーディングもしています。

50年代の艶やかなクルーナーボイス

クルーナーは古いボーカルスタイルで今では廃れてしまった歌です。しかしアルヒブラーやハートマンの艶やかなバラードは時代を超えて人の心に届くはず。

コメント